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» 2007年05月01日 00時00分 公開

「品質」で失敗しないためのアプローチを知る:半導体IPの正しい選び方 (4/5)

[Michael Santarini,EDN]

ステップ2――ベンダーについて吟味する

 大まかな状況を理解し、どのベンダーがどのようなIPを提供しているのかが分かったら、そのタイミングで、ベンダーの規模やそのターゲット、提供するサービスの範囲、方向性について吟味するとよい。一般的には、規模が大きく成功しているIPベンダーは、安定して品質の高い製品を提供する。ARM社、 MIPS社、Virage Logic社、米Tensilica社、米ARC International社などの主要なIPベンダーは、顧客の成功の上に成り立っている。ファウンドリやASICベンダーと同様に、IPベンダーは顧客を成功へと導かなければならない。主要なIPベンダーは、チップの個数ごとにロイヤルティを要求することが多く、製品が売れなければロイヤルティを徴収することはできない。そのため、顧客に対してテストベンチやリグレッションテストスイート、さらには組み込みソフトウエアまでも提供し、顧客が早く設計を終えて、大量生産に入り、ロイヤルティを支払ってくれるよう支援することが多い。

 より小規模で無名なIPベンダーでは、やや状況が悪くなる。IPベンダーはロイヤルティの徴収をビジネスの根幹に置くが、多くの顧客は支払う金額を最小限に抑えたいと考えている。できれば、支払いが一度限りの永続ライセンスか、プロジェクト単位でのライセンスを望む。しかし、IPベンダーが徴収する金額が顧客の販売実績に関係がないとすれば、IPベンダーは顧客がライセンス合意書に署名さえすれば、その後、熱心にサポートする気にはならないだろう。

 以上のことから、企業の規模、さらにはその企業が提供するサービスの範囲について吟味する必要があることが分かる。小規模なIPベンダーの多くは、設計サービスの提供を通してIPを開発してきた設計サービス会社である。そのベンダーの主要なビジネスが、IPの提供なのか、それとも設計サービスの提供なのかを見定めることが重要だ。一般に、主要なビジネスが設計サービスの提供である場合、そのベンダーのIPコアの品質は低い。その半面、サポートその他のサービスがIPのライセンス提供を主要ビジネスとするベンダーよりも充実していることが多い。逆に、主要ビジネスがIPのライセンス提供である場合には、そのベンダーのIP製品パッケージにはテストベンチやモデル、リグレッションテストスイートがうまく統合されているが、アプリケーションに対する知識やサポートが欠けていることが多い。

 デジタルIPのライセンスを購入する場合、IPベンダーがそのコアを徹底的に検証し、ターゲットとするアプリケーションにおける複数のリグレッションテストを実施したかどうかを確認することが重要である。FSAが2006年秋に行ったIPカンファレンスにおいて、ある参加者が次のように述べていた。

 「IPベンダーは、IPに対してごく限られた検証しか行えない。IPベンダーがうまくできない作業の1つは、エンドユーザーのアプリケーションに応じた検証だ。優れたIPベンダーは、時間とともに充実していくリグレッションテストスイートを開発する。より多くの顧客と作業していくうちに、さらに多くのアプリケーションに対応させていくのだ。IPベンダーのリグレッションテストスイートに何が含まれているかを正確に知れば、顧客の作業はうまくいく。顧客のアプリケーションがテストスイートの範囲内である場合、顧客が実施すべき再検証の作業負荷は軽減される。一方、アプリケーションがテストスイートの範囲外である場合には、IPベンダーは顧客と共同で作業を行い、その内容をリグレッションテストスイートに追加する。こうした取り組みが、その後の設計に生かされていくのだ」。

 Tobias氏は、「アナログIPの場合、IPベンダーが顧客に提供できるサービスの範囲がより一層重要になる」と指摘する。同氏によれば「アナログには微妙な問題が多い。それなのにコアが適切に設計されていないとすれば、悪夢が待ち受けることになる」という。

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