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リニア・レギュレータ

» 2010年10月29日 00時00分 公開
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リニア・レギュレータ

図1 図1 リニア・レギュレータの内部回路
実際のリニア・レギュレータICでは、パス・トランジスタのほか、基準電圧源とオペアンプ、抵抗分圧回路などから構成されている。抵抗分圧回路で出力電圧を設定する。出力電圧をフィードバックして基準電圧源と比較し、その結果に応じて、パス・トランジスタをオン/オフさせることで、安定した出力電圧を得る。

 リニア・レギュレータとは、DC-DCコンバータを実現する回路方式の一種。パワーMOSFETやパワー・トランジスタといったパワー・デバイス(パス・トランジスタ)のオン抵抗を利用して、入力電力を強制的に消費することで希望する出力電圧に変換する回路方式である。

 さらに、細かく見るとリニア・レギュレータは、シリーズ方式とシャント方式の2つに分類できる。シリーズ方式は、負荷に対して、パス・トランジスタを直列に接続したものである。「3端子レギュレータ」や「ドロップ」と呼ばれることもある。一方、シャント方式は、負荷に対して、パス・トランジスタを並列に接続したものである。基準電圧源を実現する回路として使われることが多い。

広く普及するLDOレギュレータ

 リニア・レギュレータには、LDOレギュレータという品種が存在する。LDOとは、「Low Drop-Out」の略。シリーズ・レギュレータの中で、入力電圧と出力電圧の差が小さなDC-DC変換が可能な品種に付けられた名前である。なお、日本国内では「低ドロップアウト・レギュレータ」あるいは「低飽和型レギュレータ」と呼ばれることが多い。

 現在、このLDOレギュレータは、非常に多くの半導体メーカーから製品化されており、さまざまな電子機器に採用されている。LDOレギュレータの最大のメリットは、回路構成が単純なため、低価格な上に使い方が比較的簡単で、プリント基板への実装面積が小さいことが挙げられる。価格は、搭載する機能や扱える電力量で異なるが、数百ミリアンペア以下の製品であれば、おおよそ数十円と安価だ。

 出力電圧に含まれるリップル電圧成分が小さいこともメリットの1つである。入力の電力をパス・トランジスタのオン抵抗で消費させて所望の出力電圧に変換する回路方式を採用しているため、そもそも出力リップル電圧がほとんど発生しないからだ。このため、こうしたリップル電圧成分を嫌うアナログ回路には、スイッチング・レギュレータではなく、LDOレギュレータが積極的に採用されている。さらに、スイッチング・レギュレータの後段にLDOレギュレータを配置し、リップル電圧成分を取り除くポスト・レギュレータとして使用されるケースも少なくない。

 一方で、デメリットもある。最大のデメリットは、変換効率が低いことだろう。特に、入力電圧と出力電圧の差が大きいと極めて低くなってしまう。例えば、5Vの入力電圧を、FPGAやASICなどに供給する1.2Vの電圧に変換する場合、入力電流と出力電流が同じ1Aと仮定すると、変換効率(出力電力/入力電力×100)は1.2W/5.0W=24%と求まる。極めて低い数字だ。変換効率が低いということは、発熱量が大きいことを意味する。この例であれば、5.0Wの76%分に相当する3.8Wの電力が熱に変換されることになる。電流量がもっと多ければ、発熱量はさらに増える。放熱対策が非常に厄介なものになってしまう。


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アイティメディア営業企画/制作:EDN Japan 編集部/掲載内容有効期限:2013年3月31日

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