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» 2011年06月10日 00時00分 UPDATE

挿入損失(インサーション・ロス)と反射損失(リターン・ロス)

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挿入損失(インサーション・ロス)と反射損失(リターン・ロス)

 挿入損失と反射損失とは、高周波回路や高周波部品の特性を表す回路網パラメータのこと。エンジニアリングの現場では、挿入損失はインサーション・ロス(insertion loss)、反射損失はリターン・ロス(return loss)と英語のまま使われることが多い。

 挿入損失と反射損失はいずれも、2端子対回路網(4端子回路網)において使われる。4端子回路網とは、トランジスタやフィルタ回路、差動伝送路といった高周波回路/部品の評価に利用するもの。入力と出力の関係を、シンプルなパラメータで表現できるため、エレクトロニクスの分野では頻繁に用いられている。

図1 図1 挿入損失の測定結果
10mのCAT6ケーブル(AWG24番線を使用)の挿入損失を測定した結果である。1.5GHzの高周波成分が10dB減衰していることが分かる。

 2端子対回路網で使うパラメータには、さまざまな種類があるが、その中で最も頻繁に使われるのがSパラメータである。Sパラメータでは、S21(もしくはS12)が挿入損失、S11(もしくはS22)が反射損失に相当する。S21の物理的な意味は、信号を端子1(入力端子)に入力したときに、端子2(出力端子)に通過してくる信号のこと。S11は、信号を端子1に入力したときに、端子1に反射して戻ってくる信号のことである。

 S21の物理的な意味を、差動伝送路に当てはめるとどうのように説明できるのだろうか。差動伝送路に信号を入力すると、その低周波成分はほとんど通過し、出力端子に達する。しかし、高周波成分は、伝送路の低域通過(ロー・パス)フィルタ特性によって減衰し、出力端子では多くの高周波成分が失われてしまう。一般に、差動伝送路の挿入損失を測定すると図1のような結果が得られる。低周波成分の減衰量は比較的小さいが、周波数が高くなればなるほど減衰量は大きくなる。なお、測定結果で、高周波成分に「のこぎりの刃状の暴れ」が現れるケースが頻繁にある。これは、差動伝送路の結合のほかにバランスの崩れたシールド間との結合によるものやコネクタ部分のインピーダンスミスマッチによるものと考えられる。

イコライザ・チップで補償

 挿入損失が大きい。すなわち、高周波成分の減衰量が大きければ、高速なデータ信号を長距離送ることはできない。受信回路でのアイ・パターンがつぶれてしまい、正確にデータを受け取ることができなくなるからだ。

 そこで、各半導体メーカーは、高周波成分の減衰量を送信回路や受信回路で補償するシグナル・コンディショニング・チップを市場に投入している。シグナル・コンディショニング技術を適用すれば、アイ・パターンの開口部を拡大することが可能になる。すなわち、高速なデータ信号を長距離伝送することが可能になる。例えば、米ナショナル・セミコンダクター社は、伝送速度が10.3125Gビット/秒と高い信号を12m送ることを可能にするリピータIC「DS100BR410」を製品化している。シグナル・コンディショニング技術には、失われる高周波成分に合わせて低周波成分を送信回路であらかじめ減衰させておくデエンファシス技術と、失われる高周波成分を受信回路で増幅するイコライザ技術を搭載している。デエンファシスの減衰量は最大9dB、イコライザの増幅量は最大36dBである。このイコライザを使えば、計算上ではあるが信号の振幅が1/50に減衰しても元に戻せる。


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