メディア

FOD(異物検出機能)これだけは知っておきたいアナログ用語

» 2012年12月10日 00時00分 公開
[PR/EDN Japan]
PR

photo

FOD

 FODとは、ワイヤレス充電(ワイヤレス給電)技術で用いられる異物検出機能のこと。「Foreign Object Detection」の頭文字をとって作られた言葉である。

 ワイヤレス充電では、2個のコイルを対向させて配置する。そして一方のコイルに電流を流すと磁界が発生し、これがもう一方のコイルと結合することで、そのコイルにも電流が流れるという原理を使う。いわゆる電磁誘導の原理を利用するわけだ。送電用のコイルを充電器(クレードル)に、受電用のコイルを携帯型電子機器に組み込んでおけば、ワイヤレスで充電できるようになる。

 ここで問題になるのは、送電用コイルと受電用コイルの間に、金属の物体が入ってしまった場合である。このままの状態でワイヤレス充電を実行すると、金属物体に渦(うず)電流が流れ、その結果大きな電力損失が発生してしまう。金属物体が異常発熱し、とても危険なうえに、狙った通りの充電が実行できなくなる。

 そこで、送電用コイルと受電用コイルの間に金属物体が入っていることを検出するFOD機能が必要になるわけだ。ワイヤレス充電の国際標準規格「Qi(チー)」の策定に取り組む「WPC(Wireless Power Consortium)」では、WPC1.1(System Description Wireless Power Transfer Volume I: Low Power Part 1: Interface Definition Version 1.1)仕様でFOD機能を取り込んだ。

 現時点(2012年12月)では、ワイヤレス充電に向けたトランスミッタ/レシーバICは、FOD機能を取り込んでいないWPC1.0仕様に準拠した製品が多い。しかし、今後はWPC1.1仕様に準拠した製品が増えていくのは間違いない。ワイヤレス充電において、FODは「必須機能」になるだろう。

WPC1.1にいち早く対応

 すでに、WPC1.1に対応したワイヤレス充電向けトランスミッタ/レシーバICの製品化が始まっている。テキサス・インスツルメンツ(TI)のトランスミッタIC「bq500410A」とレシーバIC「bq51050B/bq51051B」である。同社によると、「WPC1.1に対応した製品の実用化は業界初」という。この製品には、当然のことだがFOD機能が実装されている。渦電流による電力損失がある一定量以上になると、出力を停止させるという仕組みである。

 このほか、これらのICの特長としては、3個の送電コイルを用いる方式に対応した点が挙げられる。WPCにおいて「Power Transmitter design A6」の名称で仕様化されている方式である。この方式の充電可能な領域は70mm×20mmと大きい。同社従来品では、1個の送電コイルを用いる方式を採用しており、充電可能な領域は18mm×18mmだった。これに比べると、充電可能な領域を約4倍に広げたことになる。

図1 WPC1.1に対応した業界初のワイヤレス充電向けレシーバIC「bq51050B」
FOD機能が実装されている。

テキサス・インスツルメンツの電源IC製品ラインナップ


これだけは知っておきたいアナログ用語 バックナンバー





Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.


提供:日本テキサス・インスツルメンツ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EDN Japan 編集部/掲載内容有効期限:2013年3月31日

設計に役立つヒント集

宮崎 仁のQ&Aでよく分かるマイコン基礎の基礎:
第24回 割り込みっていろいろあるのですか?どんな種類があるか教えてください。

今回は、外部割り込み、内部割り込み、ソフトウェア割り込みについて詳しく解説しています
全文を読む


電源IC選択のヒント集
電源IC 使用時の注意点をわかりやすく説明しているほか、使用時に発生する可能性のあるさまざまなトラブルとその対処法についても紹介しています。ぜひご利用ください。ダウンロードには myTI アカウントが必要です。
Part 1をダウンロード
Part 2をダウンロード


アナログ回路設計式一覧ポケット・ガイド
日本語版 PDF

英語版で高い評価を受けてきたポケット・ガイドの日本語版が完成しました。基板レベルやシステム・レベルの回路設計でよく使われるアナログ設計式を紹介しています。ダウンロードには myTI アカウントが必要です。
ダウンロード



facebook & twitter

製品情報、セミナーや展示会などのイベント情報をお知らせしています。

RSSフィード

公式SNS

EDN 海外ネットワーク

All material on this site Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
This site contains articles under license from AspenCore LLC.