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8B10B

» 2011年05月27日 00時00分 公開
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8B10B

図1 図1 8B10B変換の例
8ビット・データではすべて「0」だが、8B10B変換を実行することで、「0」と「1」が5ビット以上連続しないシンボルが得られる。こうして低周波数帯域が抑制される。

 8B10Bとは、高速シリアル・インタフェースに用いられる符号化方式のこと。8ビットのデータを10ビットのシンボルに変換して伝送する方式である(図1)。この方式が開発されたのは1980年代前半のことだ。開発したのは、米IBM社である。もともとは、ハード・ディスク装置のリード・チャネル部の符号化方式に向けたものでその後、Fiber Channel(ファイバーチャネル)、SONET/SDHなどの光通信I/Fで主流となり、現在ではUSB 3.0やThunderbolt、シリアルATA、PCIe Gen1/2、GビットEthernet(1000BASE-X)、IEEE1394、などの仕様でも採用されている。高速シリアル・インタフェースでは主流の符号化方式といえる。

減衰の大きな伝送路ではISIジッターを低減できるメリットも

 ただし、すべての高速シリアル・インタフェースが8B10B方式を採用しているわけではない。例えば、データ伝送速度が8Gビット/秒のPCI Express Gen3では符号化方式として10GBase-Rの64B66Bのビット長を2倍とし効率を上げた128B130B方式を採用した。その理由は、8B10B方式を使用すると8ビットの情報を10ビット分のシンボルを使って伝送するため、20%のオーバーヘッドが存在し、8Gbpsの帯域を使用するためには10Gbpsのスループットが必要だったからだ。一方の128B130B方式であれば、オーバーヘッドはわずか1.5%程度で済むと考えられた。

 もっとも、この20%のオーバーヘッドはさまざまなメリットを享受できる。最大のメリットは、低周波成分の抑制が可能なことである。8ビットを10ビットに変換する際に、「0」や「1」が5ビット以上続かないように工夫しているためだ。そのため単純にAC結合が可能となる。グラウンド・レベルを共有していない電子機器間やボード(プリント基板)間の接続に容易に使用できる。

 このほか、8B10B方式を採用している規格では、「0」と「1」が交互に複数繰り返す最大トグル周波数がコードをまたいで連続して続かないように工夫している。(D10.2/D21.5除く)伝送信号に含まれる高周波成分も抑制できるわけだ。また直流を含む低周波成分をカットでき、低周波成分も抑えられる。従って、データ伝送に利用する周波数帯域を狭くすることができる。このため使用する帯域で減衰の大きな伝送路ではISI(inter-symbol interference)ジッターを低減することが可能だ。言い換えれば、アイ・パターンの開口部を大きくすることができるようになる。長距離伝送にも適したコーディング方式といえる。

プラスとマイナスを交互に出力する

 変換方法の概略は以下の通りだ。8B10B方式では、上位3ビットと下位5ビットに分けて、それぞれに対して3ビットを4ビット(3B4B変換)、5ビットを6ビット(5B6B変換)に変換する。これらの変換には、決まった法則はない。いずれも、あらかじめ決められた変換テーブルによって、データをシンボルへと変換する。  各シンボルは、プラス(+)とマイナス(−)の2種類が用意されている。8B10Bコード表ではこれをランニング・ディスパリティ(RD:running disparity)と呼んでいる。直前のランニング・ディスパリティがプラスならば、次はマイナスのシンボルを、直前がマイナスならば、次はプラスのシンボルを出力する。こうして、「0」や「1」が5ビット以上連続しないようにするとともに、1と0の数のバランスを均等にし、ベースラインワンダー、DCインバランス、パソロジカルパターンといった信号のDCバランスに依存する問題をコーディング方式だけで解決している。

さまざまなインタフェースICに適用済み

 8B10B方式を採用した高速シリアル・インタフェースICは、FPGAや半導体メーカー各社から製品化されている。米National Semiconductor社では、光ファイバ伝送や交流(AC)結合伝送の用途に向けて、複数の製品を市場投入している。その製品の一つが「DS32EL(X)0421/DS32EL(X)0124」で、FPGA-Linkと呼ばれる製品群に含まれるICである。FPGAから出力される複数(パラレル)のLVDS信号を、1本のシリアル信号にまとめて伝送したり、そのシリアル信号を受信して複数のLVDS信号に分割したりするSERDES(シリアライザ/デシリアライザ)である。パラレルのLVDS信号を1本のシリアル信号にまとめる際に8B10B変換が実行される。


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提供:日本テキサス・インスツルメンツ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EDN Japan 編集部/掲載内容有効期限:2013年3月31日

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