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インダクタ

» 2010年11月26日 00時00分 公開
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インダクタ

図1 図1 DC-DCコンバータでのインダクタの使用例
米ナショナル セミコンダクター社が販売している降圧型DC-DCコンバータ・モジュールの内部ブロック図である。インダクタンス値が2.2μHのインダクタを内蔵してある。

 インダクタとは、交流回路において抵抗として機能する受動部品のこと。言い換えれば、交流電流を流れにくくする受動部品であり、その流れにくさを表すのがインダクタンス(L)である。単位はH(ヘンリー)である。インダクタのほかに、コイルやチョークと呼ばれることもある。

 インダクタは用途によって、信号用や高周波用、電源用などに大別できる。信号用のインダクタは、コンデンサや抵抗とともにフィルタ回路として使われる。高周波用の役割は、インピーダンス整合(マッチング)である。例えば、ラジオ・チューナー回路などに搭載されている、銅線を円筒状に巻いただけの空芯コイルがそれだ。電源用のインダクタの役割は大きく2つある。平滑と電力変換(エネルギーの蓄積)の役割である(図1)。通常、DC-DCコンバータにおいては、スイッチング素子の後段に挿入されている。

小型化が強く求められる

 今回は、電源用のインダクタに焦点を当てて解説しよう。電源用インダクタは、DC-DCコンバータの小型化を進める際に、最も「厄介な部品」だと言えるだろう。少なくとも現時点においては、DC-DCコンバータの構成部品の中で最も外形寸法の大きなことが多い部品である。もちろん、小型品を製造すること自体は可能だ。しかし、小型化してしまうと電気的な特性が大きく劣化してしまう。具体的には、十分なインダクタンス値が確保できなくなったり、直流抵抗(DCR)成分が増大して変換効率が低下してしまったりする。

 このため現在は、インダクタの小型化に関する開発とともに、DC-DCコンバータのスイッチング周波数の高周波化が進んでいる。スイッチング周波数を高めれば、インダクタンス値の小さいインダクタが使えるようになるからだ。つまり、インダクタの小型化が可能になる。現時点(2010年11月末)で入手できるDC-DCコンバータICの中で最もスイッチング周波数が高いものは8MHzである。今後、スイッチング周波数は小型化を目的に、さらに高まる見込みである。

直流重畳特性に注意

図2 図2 直流重畳特性のイメージ図
インダクタに直流バイアス電流を流すと、インダクタンス値が減少する。

 このほか、電源用のインダクタで注意したい電気的な特性は2つある。

 1つは、直流重畳特性である。これは、直流バイアス電流を流すとインダクタンス値が低下するという特性だ(図2)。通常、カタログに記載されているインダクタンス値の多くは100 kHzで測定されたものである。しかし、実際のDC-DCコンバータでは直流バイアス電流を流した状態で使用する。つまり、カタログ値通りのインダクタンス値は期待できないわけだ。直流バイアス電流を流した状態で、どの程度インダクタンス値が低下するか。それを表したのが直流重畳特性である。

 もう1つは、漏洩磁束である。漏洩磁束が大きなインダクタを使うと、外部にノイズ(雑音)を放射してしまうことになる。通常、漏洩磁束が大きな品種は、巻線部分を遮蔽していない開磁路構成を採用している。ノイズの問題を回避したい場合は、巻線部分を遮蔽している閉磁路構成のインダクタを採用すべきである。

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 なお、米ナショナル セミコンダクター社の降圧型DC-DCコンバータ・モジュール「SIMPLE SWITCHER® パワー・モジュール・ファミリLMZ10505」は、インダクタを内蔵しながらも、10.16mm×13.77mm×4.57mmと小さい外形寸法で最大5Aの出力電流が得られる。しかも、インダクタは閉磁路構成を採用しており、外部に放射するノイズのレベルはかなり低く抑えられている。


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